1.はじめに

現在、コンタクトレンズ(CL)の装用者は約1200万人ともいわれています。

しかし、多種類のコンタクトレンズが販売され混乱しているのが現状です。

CLの眼に対する影響やその選び方などを学びましょう!


2.コンタクトレンズと酸素

血管のない角膜は涙に溶け込んだ空気中の酸素を利用して呼吸をしています。 CLをすると酸素の供給は減少します。実際にCLを装用した角膜上の酸素濃度を調べると 酸素透過性のよいレンズですと富士山頂上の酸素濃度となり、悪いレンズではエベ レスト山頂上の酸素濃度となります。そのため酸素不足になれるため性能の悪いレ ンズでは徐々に装用時間をのばす必要があるわけです。CLを長時間使用すると、 角膜は酸素不足から角膜炎などのトラブルを起こすことがあるため注意が必要です。 CLによる角膜障害の主な原因は角膜の酸素不足、物理的障害そして感染です。 障害が悪化した時は角膜潰瘍(写真1)など永久的な視力障害を生じることがあり ます。

【コンタクトレンズによる角膜障害の原因】

1)角膜の酸素供給の減少
2)物理的障害
3)感染


(写真1)
ソフトコンタクトレ ンズが原因で角膜潰瘍になって しまいました。

このかたの視力は0.04です。
こわいですね!

3.コンタクトレンズの種類

CLには、硬くて角膜より小さいハードコンタクトレンズと、柔らかくて角膜より 大きいソフトコンタクトレンズがあります。

 ハードコンタクトレンズ(HCL)
  最も安全、障害が起きるとすぐ痛くなる
  涙液交換がよく、酸素の供給がよい
  ガス透過性の高いレンズは汚れやすく、もろい

 ソフトコンタクトレンズ(SCL)
  異物感が少なく、スポーツなどでもはずれにくい
  バンデージ(包帯)効果のため障害が気付きにくい
  乱視矯正効果が少ない



3-1. ハードコンタクトレンズ

ハードコンタクトレンズ(HCL)は、異物感があり、 初めての人には慣れるまで時間がかかり、軽度の乱視矯正効果があります。酸素を通さないものと、ガス透過性 HCLがあります。現在では、酸素を通さないHCLはほとんど使われなくなっています。 ガス透過性HCLは角膜に十分な酸素を送れるため長時間の装用が可能です。 ガス透過性が高くなると「もろい」「汚れやすい」といった欠点もあります。


3-2. ソフトコンタクトレンズ

ソフトコンタクトレンズ(SCL)は、 異物感がすくなく初めての人でもすぐに慣れますが、乱視矯正効果はあまりありません。 スポーツをする人などには好んで使われます。

  従来型SCLと使い捨てSCLの比較
項 目
従来型 使い捨て型SCL

 使用期間
 レンズ洗浄
 蛋白除去
 消毒

 1〜2年
  要
  要
  要
 連続装用   終日装用   頻回交換型
 1週間     1日      2週間
 不要      不要      要
 不要      不要      不要
 不要      不要      要



3-3. SCLの種類
最近のSCLは使用方法が多様化しています。 1年間位長期使用する「従来型レンズ」と2週間使用した後新しいレンズと取り替える「頻回交換レンズ」、毎回新し いレンズを使用する「使い捨てレンズ」などがあります。


3-3-1.「従来型レンズ」

下着は毎日洗濯しても黄ばみや汚れが付くように 「従来型レンズ」は長い間使用するためレンズも変性し汚れがたまりやすくなります。 使用期間は平均約1年間ですが、レンズが汚れていても「もう少し使える」「まだ大丈夫」と自己判断して無理 に使い続け、ある日突然眼に障害が起こることも少なくありません。


3-3-2.「使い捨てレンズ」

一般に使い捨てレンズと呼ばれているSCLは頻回交換レンズと 使い捨てレンズの2つのタイプがあります。3ヶ月ごとの医師による定期検査を受けなければレンズ の処方ができないものです。早くすてるから安全であるのに、装用者の中には安全 なレンズであるから、ケアもせずに長期使用するという間違った使い方をするかた もおりご注意ください。欧米では使い捨てレンズの誤用による眼合併症が多く生じ ています。


3-3-2-a.「頻回交換レンズ」

頻回交換レンズは、一枚のレンズを今まで通りに使用して 2週間後に新しいレンズと取り換えるもので、厳密には使い捨てレンズとは異なります。 毎日のこすり洗いと洗浄、消毒は必ずしましょう。このタイプは酸素の供給も比較的高いうえ、 レンズが汚れてトラブルを誘発する前に新しいレンズと交換するため、安全性は良くな っています。費用も従来のレンズと変わりません。


3-3-2-b.「使い捨てレンズ」

使い捨てレンズには毎日はずして捨てるレンズと 1週間連続装用して捨てるレンズがあります。毎日はずして捨てるレンズは毎日新しいレンズを 使用するので衛生的であり、最近注目を集めているドライアイやアレルギー性結膜炎でも従来型レンズ より安全に使用できます。汚れがつく前に捨てケアも不要なため、SCLの中では 最も安全に使用できます。しかし、費用がかかります。連続装用は就寝時も含め装 用するため角膜の負担が多く、おすすめできません。寝ている時、角膜への酸素供 給量は目をあいている時の33%にへり、CL装用のまま寝ると、22%になり、 酸素不足から眼に障害が生じやすくなります。

4.レンズのケア

使用したレンズは汚れています。汚れにより 酸素透過性は低下し、細菌感染やアレルギー性結膜炎(写真2)を生じやすくなります。 レンズのこすり洗い不要というケア用品が売られています。その結果CLの汚れによる眼障害が 生じやすくなります。CLはこすり洗いをしなければ汚れは落ちにくいものです。 快適に使用するにはこすり洗い・洗浄そして消毒を十分に行うことです。

(写真2)
上まぶたのウラに できたソフトレンズの汚れに よるアレルギーで起きた巨大 乳頭結膜炎です。
レンズケアを怠ると生じやすくなります。
ビックリですね!

【CLのレンズケア】
1)こすり洗い
2)洗 浄(十分にすすぐ)
3)消 毒(HCLは不要)
 

4-1. ガス透過性HCLのレンズケア

ガス透過性HCLは、ガス透過性が高いほど汚れが付きやすいため注意が必要です。
毎日のこすり洗いと洗浄の他に週一回あるいは月一回、蛋白融解酵素剤を使って汚 れを落とす方法があります。ガス透過性HCLの保存液は消毒作用があるため保存 する時にも消毒効果があります。



4-2. SCLのレンズケア

こすり洗いと洗浄はもちろん重要ですが、 SCLは保存液を吸収するため消毒効果のある薬剤が含まれません。そのため保存時は消毒効果が ないので消毒を入念に行う必要があります。SCLの消毒は、加熱処理する煮沸消毒と消毒液による化学消 毒があります。煮沸消毒ではレンズのこすり洗いと洗浄をしないで煮沸すると、付 着していたタンパクが熱変性しレンズの白濁やアレルギー等が生じやすくなります。 化学消毒では少なくなりますが、カビへの消毒効果がすくないのがデメリットです。

【ドライアイとCL装用】
1)ドライアイは正常者より角膜障害が4倍多い
2)ドライアイの連続装用者は角膜障害が9倍多い
3)リスクを十分に理解し装用
4)SCLは十分に注意が必要
5)人工涙液(防腐剤無添加)の点眼が必要


5.ドライアイとCL装用

CLは涙液中に浮かんでいるため涙液量が減れば、 当然、角膜に傷がつきやすくなります。ドライアイの方はメガネをすすめますが、 どうしてもCLを使いたいという方には、ガス透過性HCLか毎日使い捨てSCLか頻回交換SCLを使用し、 ドライアイ用の人工涙液(防腐剤が含まれていない点眼薬)をひんぱんに点眼しなが ら装用時間を抑えるように使用したほうが使用が楽になります。コンピューターの 画面以外にも、テレビゲームに夢中になったり、勉強に集中している時も瞬目回数 は少なくなり、目は乾燥しやすくなります。

6.CLの安全な使い方

CL装用中「目が充血する」「目が痛んだりゴロゴロする」「目がかすむ」 「かゆみがある」「めやにが出る」等の症状を感じたらすぐに眼科専門医を受診しましょう。 またこれらの眼症状が出たら、CLをすぐにはずしましょう。 CLは、できればガス透過性のHCLをおすすめします。HCLは異物感があって 危険なようですが、実はこちらの方が安全です。角膜が障害されれば、すぐに痛み を感じるので早くなおります。一方、SCLは柔らかく装着した感じはよいのです が、レンズが傷口をおおってしまうため(バンデージ効果)、障害が起きても異物 感を生じにくく、自覚症状が現れた頃には症状がかなり進行していることにもなり かねません。
CLをするには目のことをよく理解した眼科専門医で診察を受けましょう。さらに、 定期検査は3ヵ月に1回は必ず受けましょう。


7.さいごに

安全にCLを使用するためには、 下記のことを必ず守ることが大切です。

1) どんなコンタクトレンズでも目には異物であり負担がかかるものです
2) レンズを選ぶ時、HCLではガス透過性ハードコンタクトレンズを、SCLでは瀕回交換型か毎日使い捨てSCLを選びたい
3) 使用時間は12時間以内にする
4) 不快感がある場合にはすぐにはずす
5) レンズのこすり洗いと洗浄、消毒はきちんとする
6) 眼科医師の定期検査を受ける
7) 自宅では眼鏡を使用し、外出時も持ち歩く
8) 何か異常を感じたらすぐにはずす